地球ことば村
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第 1回フォーラム

ことばをとおしてみえる世界~ニューカレドニアの先住民語の所有概念~


10月2日(土)、夏のような陽射しのなか、およそ30名を集めて、地球ことば村第1回フォーラムは催されました。今回の講師は、長年にわたってニューカ レドニアの言語研究を続けていらっしゃる、東京女子大学教授の大角翠先生です。先生が世界で初めて文法書を著したニューカレドニアの先住民語であるティン リン語と現在研究中のネク語を例に、日本語とはまったく異なる複雑な所有構造と概念体系をもつことばについて、とても興味深いお話をしていただきました。

ティンリン語には所有分類辞というのがあるのだそうです。
たとえば、男がココナツを手にしているとします。そのココナツを指すとき、彼がそれを植えようとしているのか、飲もうとしているのか、あるいは食べようと しているのか(しかもそれがでんぷんとしてなのか、たんぱく質としてなのか、でも違うんだそうです)、などによって、ココナツにそれぞれちがう分類辞 (α、β、γ……)を付けて、「ココナツ+α(β、γ…)+彼」という名詞しなければならないと言うのです。日本語では「彼のココナツ」で済んでしまうと ころを、ティンリン語だと所有の目的によって違う言葉で表さなければいけないなんて驚きです。また、目や耳のように、その人から切り離すことができない部 分などはもっと大変で、日本語のように、単に「目」とか「耳」とか言うことができません。必ず、「私の目」とか、「彼女の目」とか所有者をつけないと意味 をなさないということです。
ティンリン語やネク語を話す人たちが、彼らが住んでいる世界を見る、その見方は私たちのものとはいったいどのくらい違っていることでしょうか。見るもの、 聞くもの、触るものを抽象化し、客観的に言葉にするのではなく、世界(自然?)とともに脈打っているような彼らの在り方が感じられました。

実際に先生がフィールド調査をした時の映像なども入った2時間、食中毒で苦しんだ経験や、虫を思い切って食べたことなど、現地調査の実 態や苦労にも触れ、参加者からの熱い質問も飛び交って、とても楽しいフォーラムになりました。                                      《事務局》