地球ことば村
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【地球ことば村・世界言語博物館】

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ことば村・ことばのサロン

2005・11月のことばのサロン

 

  「ネパール西部のビャンスの人々・多言語社会での『母語』
   とはなにか」

日時 11月19日
会場 ことば村事務所
ゲスト 名和克郎・東京大学東洋文化研究所助教授・文化人類学


日本を出発してから、1週間かけてたどりつくネパール西部の国境沿いビャンスの村で言語調査をしている名和先生。長期調査をしている言語学者は世界で先生ひとりだそうです。映像でみるビャンスの村は、険しい山間ののどかな農村。日本人に良く似た人々。

ビャンスでは3つの方言にわかれるビャンス語のほか、隣接する地帯のことばヒンディー語やチベット語、さらに国の共通語ネパール語、教育を介して獲得された英語など、さまざまなことばのるつぼ状態があります。村人は最低バイリンガル、たいていはトリリンガル話者。そういう中で、こどもはどのようにことばを獲得していくのか。
ふつうは養育者(母)のことばをまっさきに覚えますが、ビャンスでは隣村から嫁いできた場合、村人と会話できないくらい違う場合がある。そういう場合、こどもは母のことばでなくて、村のことばを覚えるということです。
こんなにいろいろの言語が飛び交っていると、純正ビャンス語ができる、ということが一種の自慢になる。また、純粋な言語への希求・書記の体系への希求(独自の文字はないので)が大きくなってくる、そういうなかで、ほかのことばからの借用や、融合で「不純」になった「母語」(実は父語)が使われている。
日本語の状況にもあてはまるような興味深いお話でした。

参加者からは、母語(心から何かが言えることば)とはなんだろうという疑問が。
それぞれに、このことばでなくては言い表せないことがある、ということばを考えたとき、ほとんどが、幼年期を過ごした地域のことばだ、ということになりました。「母のことば」ではないのですね。これもビャンスの状況と似ています。それでは、最近注目されている「母語」というのは何なのでしょう。この話題はこれからのサロンにも繰り返し出てくることと思います。お楽しみに。