地球ことば村
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【地球ことば村・世界言語博物館】

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ことば村・ことばのサロン

2006・9月のことばのサロン
▼ことばのサロンB
●シリーズ「在日外国人による『日本語のここが困る』」
●9月16日(土)午後3時_5時
●慶應義塾大学103教室
●話題提供:ソンドヒョンさん(韓国から滞日5年目)・キムキョンソンさん(同じく滞日7年)
●発音の差で困ること、人間関係の微妙な温度差など、日本で感じる文化の違いについて。

ソンさんはソウル出身、現在神田外語大学4年生。キムさんはプサン出身の千葉大学人文科学研究課修士課程。おふたりとも、日本人と変わらない流暢な日本語での自己紹介から始まり、名前の発音の話へ。

▼ことばのこまかい違いでとまどう
韓国語の発音には日本語にない音がある。
ソンさんのソン(成)は<s_ng>だけれど、孫さんは<son>、宋さんは<song>、宣さんは<s_n>。ところが、日本の発音だと、みんな「ソン」になってしまう。初めのころは「ソンさん」と呼ばれるたびに、誰のことかな?と。どうしても違和感があるので「ドヒョン」さんと呼んでもらうようにしたとか。単語についても、韓国で「夕方」というと、午後9時から10時くらいまでを指す。その感覚で「じゃ、夕方電話します」と別れた友人から、午後7時ごろ、「夕方電話くれるといったじゃない?」とかかってきたり。

▼ 似ているから困ることも
キムさん「日本語と韓国語は似ているので、不便です」参加者「??」
というのは、ある程度まで日本語を使えるようになると、それ以上なかなか上達しないひとが多い。似ているのに違う言いまわしもあって、とてもまぎらわしい。例えば―
「ことばにトゲがある」を間違えて「ことばに骨がある」と言ってしまった。聞いた人は、「しっかりした話をする」とキムさんが評価した、と思っていたことがあとで判明したそうです。

▼ 親しき仲にも礼儀あり??
キムさんは、友人関係の「親しさ」について、とまどったそうです。例えば
友人同士でお弁当を食べるとき― 
日本式:デザートなど、食べない?と進められてから手をつける。
韓国式:当然みんなの共有。断るまでもなく食べる。
日本式の関係に、最初は、ともだちじゃないのかしら、とショックをうけたそうです。
反対に韓国文化では、年令や立場の上下に非常に気を使う。日本の親子のように、親に対して友達のような振る舞いなどは、決してしない。参加者も「親しさ」は文化によって違うものと実感。

▼ 「本チャン」と「在日」
差別を感じる経験は―?という問いに、アジア人と、西欧人にたいする視線が違いますね、とソンさん。キムさんは一度、レストランで「韓国人は韓国へ帰れ!」と言われた経験があるそうです。ソウルで逆の体験をしたという参加者の発言もありましたが。そういう人種は何処に行ってもいるのかもしれません。本当に残念なことですが。

興味深いのは、韓国から来た韓国人は「本チャン」と呼ばれる、ということ。ソンさんが韓国で出あった日本から来ている「在日韓国人」は、お金持ちで、日本人からの差別への愚痴が多かった。彼らは日本でも外国人、韓国に居ても外国人、の気分を味わっていて自分の居場所がわからない。一方、ソンさんが来日して出あった「在日韓国人」はとても誇りを持って生きている。ソンさんはそういう人々から、「本チャン」だぁ、とよろこんで迎えられたそうです。

▼ 日韓関係をどう見るか・そしてこれから
靖国問題などに対して、ソンさんもキムさんも、冷静な見方を持っています。韓国メディアが一方的なニュースを韓国内に流していると感じています。日本に来て、日本のニュースのほうが客観的だと思ったそうです。「ひとりふたりの日本人の声が大きすぎて、日本人全体がそうか、と思ってしまうんですね」これは、日本人がニュースに接するときにも注意すべき点だと思います。
韓国と日本という隣国同士、これからの関係について、最後にうかがいました。
キムさん「現状は、互いに、相手を十分理解しようとしていないように思います。歴史についても理解した上で、昔をひきずらずに新しい関係が築けたらいい。日本は、将来的に韓国がどう変化するかを見守ってほしいです」
ソンさん「日本の文化はすばらしいです。日本人はすこし遠慮していませんか?もっと自信を持って、その文化を表現してください」

すばらしいメッセージで締めくくられたサロン、草の根の文化交流が出来ました。おふたりにはこれからも、「ことばでひとを結ぶ」ことば村に協力していただきたいと、再会をお願いして散会―。