地球ことば村
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【地球ことば村・世界言語博物館】

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ことば村・ことばのサロン

2015・1月のことばのサロン
▼ことばのサロン

 

「ことばを通してみる日韓社会」


● 2015年1月31日(土)午後2時-4時30分
● 慶應義塾大学三田キャンパス研究室棟A会議室
● 話題提供:鄭英淑先生(杏林大学准教授)


 2015年最初のサロンは、日韓語彙交流史/語彙交流を通してみる日韓文化接触などがご専門の鄭英淑(チョン・ヨンシュク)先生を迎え、古代から現代にいたる韓国・朝鮮語と日本語の語彙交流の歴史を聞き、そこから見えてくるそれぞれの文化への理解を深めようというもの。
 現在の日韓関係がぎくしゃくしている中、お互いの違いと共通点を改めて知るサロン、参加者からの質問も相次ぎ、有意義で楽しい時間となりました。


鄭英淑先生


講演要旨

講演の全容はYouTubeでご覧いただけます。(別ウィンドウが開きます)


1. 概要

文化すなわち、人々の価値観・考え方が言語に反映される例

▼嬲 嫐(なぶる・なふる) 姦(かん)
 これらの漢字から受ける印象は、韓国人や日本人のように儒教の影響下にある人にとっては好ましくないもの。しかし、西欧文化の人からみると、「綺麗」と受け取るかもしれない。
▼親孝行(孝道・ヒョド) 縁(因縁・イニョン) 道(道・ド) 塞翁之馬(塞翁之馬・セオンジマ)
 これらは韓国も日本も共通に持っている観念。特に孝道は韓国人が一番大切にする考え。日本でこれにあたるほど全員が共有しているものは「迷惑をかけない」ということだと思う。
▼迷惑 いじめ 養子縁組 腕を磨く・腕が上がる
 これらは日本に多い考え方・行動の仕方。韓国にもいじめはあるが、全員がひとりをいじめることはなく、必ず味方がいる。また、韓国は血筋を大切にするので、子どもが生まれないときはほかの女性に産んでもらうなどして、養子をもらうことはほとんどない。腕が上がるのように、職人的技能を大事にするのは日本だが、韓国は文人が尊敬されるので、こういう考え方はない。
▼우(ウリ)리(うちの、私たち)、적당히 주세요(適当に下さい)、他人を親族呼称で呼ぶ(年齢中心)
 これらは韓国独特のもの。「私の」母という言い方はしない。「うちの」母と言う。また、飲食店でビールなど頼むとき、日本人は「三本ください」などというが、韓国人はたいてい「適当にください」と言って、お店の人もそれで大丈夫。また、日本語の〇〇さん、という呼称は無く、年齢によって、親族呼称(お姉さん、お兄さんなど)で呼ぶ。そのため、年齢が面と向かって聞きにくい場合は、干支は何年ですか?などと工夫が必要。


2. 日韓交流の痕跡

古代:飯田、村主(すぐり)、郡(こおり)、高麗神社・・・(古代韓国語→日本語)
近代:たくあん、たまねぎ、豚カツ、おでん・・・(日本語→韓国語)
現代:双方向で語彙が行きかっている。
 例 日本の植民地時代に「おでん」が入ってきたが、
   その材料の一部のスリ身だけを指して「おでん」と呼ぶようになった。
   現在おでんバーもある。


3. 最近の流行語

▼韓国
甲の横暴(갑질):立場の強いものが弱いものをいじめる行為
 例:大韓航空のナッツリターン
쩍벌남(man spread)
치맥(チメック):中国で流行(ドラマ=星から来た彼)
기러기아빠(雁パパ)
독수리아빠(鷲パパ)
펭귄아빠(ペンギンパパ)
Sライン、Yライン、チョコレット腹筋、童顔・・・
コーヒー共和国:コーヒーを持ち歩く風景は日常
 (コピス族、カフェブラリ族、コーヒータイム=イギリスのティータイム)
チャンジャ麺:韓国人の大好物のちゃんぽんとジャジャ麺が両方入るように仕切りのある器にいれる麺

▼日本
ベンチ族:空港のロビーで就寝する族(LCCで変わる空港。2013年)
草食男子:韓国にも同じ言い方がある。
無縁社会(孤独死)
専業主夫
婚活
終活

鄭英淑先生


両国の流行語にそれぞれの現代生活が見えてきました。「甲の横暴」の関連では、韓国の住居身分社会についても。ソウルの中央を流れるハンガン河の南・江南は金持ちの居住地帯、北側の江北は普通以下の人々の居住地帯。どこに住んでいるかで経済程度が分かるとのこと。これは日本にもありそうです。講演全体の内容はぜひYouTubeでご覧ください。


以上

(文責:事務局)