地球ことば村
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中国語の感覚


中国語の感覚ー1

私は中国に来てから中国語を覚えました。最初、中国人民大学の「漢語中 心」というところで中国語を学んだのですが、実際、今話している中国語は、 地下アパートに住んでいたときに隣近所との交流(海賊版のDVDやソフトを販 売しているような人達)や中国人の友人達との会話から学んだ言葉で構成され ていると思っています(中国語にはあまり厳格な敬語がないのですが、やはり 丁寧な表現と俗な表現があります。大きく分けると、丁寧な表現は大学院や仕 事の関係で、俗な表現は地下アパートの友人達から学んだという感じになりま す)。

現在、家族以外は殆ど日本人と会わないような生活をしていますが、そう なると、自分でも不思議なのですが、頭の中が中国語と日本語という状態に分 かれていて、普通にあまり考えずに中国語を話しています。正確に言うと、多 分、第二言語と母語という二つの枠組みに分かれていて、そのため、第二言語 としての中国語を普通に話すようになってから、英語を話そうとすると、先ず 中国語の表現が浮かんできて、中国語から英語という経路になってしまってい ます。英語は受験英語のレベルなので、直接英語で話せないことも原因ですが、 非常に不思議です。こういう「感覚」というものが、実は外国語を話す上で、 重要な要素の一つなのではないかと思います。

(河原啓明)

中国語の感覚ー2

先週の土曜日から我が家に滞在している妻の友人、中国語を話すことがで きません。まぁ、日本で普通にOLやっていて、今まで中国には全く縁がなく、 私と妻が結婚したのでこちらに遊びに来たという人なら当然ですよね。海外に も縁がなかった子で、初めての海外が中国だったみたいです。しかし、彼女、 凄い!妻はまだ殆ど中国語を話すことができないため、中国人に話しかけられ ると、ジャパニーズスマイルで通すしかない(本人談)らしいのですが、遊び に来た中国語に縁のない友人、妻の通訳をしています。中国人に話しかけられ、 妻が玉砕していると、「なんかこんな感じのことを言っているよ」って教えて くれるみたいです。

1でも書きましたが、この感覚、外国語を話す上で、かなり重要な感覚だ と思っています。私の場合、仕事で通訳をやったり、中国企業と折衝するとき、 地方の場合はそのまま方言で話したりする人がいるので、分からない単語があっ たりします。完全な方言は聞き取れませんが(中国は広いので、もう殆ど外国 語状態、東北地方の方言は比較的共通語に似ているのでなんとかなるのですが、 例えば、上海語なんて一言も分からないです)その地方独特の表現があるほか、 訛っている言葉(本人は共通語を話しているつもりだろうけど・・・)で話さ れると、非常に疲れる・・・。広州に出張したとき、現地の人で若い人は共通 語がまぁまぁでしたが、年齢が高い人だと、どう考えても、外国人である僕の 方が共通語は上手いです。でも、こういうときは、「感覚」でクリアしていま す。

言葉は無数にあります。日本語ですら辞書に載っている単語を全て知って いる訳ではないので、分からない単語があるのは外国語であれば尚更なのです が、しかし、感覚により、分かったり、話しが通じたりします。特に、語彙の 少ない初級段階では、こういう推測は非常に役立ったり、語学力の向上になっ たりします。

妻の友人、本当は外国語の天才なのかもしれない。日本でOLやって燻って いるよりも、外国語の道に進んだ方が良いのではないかと思えてきます。

(河原啓明)