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【地球ことば村・世界言語博物館】

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世界の文字

ラエト文字 英 Raetic alphabet,独 das rätische Alphabet,仏 alphabet rhétique,伊 alfabeto retico

古代イタリア北部で用いられたラエト語(レト語)を表記する文字。レト文字とも。ラエト文字は北エトルリア・アルファベットに因っているが,地域により多少異なり,次の 3 つのグループに分けられる。→ 蛭沼

 1)ボルツァーノ(Bolzano)周辺を含む北部グループ。
 2)マグレ(Magrè),フェルトゥレ(Feltre)周辺を含む南部グループ。
 3)ガルダ(Lago di Garda),ソンドリオ(Sondrio)周辺を含む西部グループ。

文字構成

ラエト文字表 → Jensen

ラエト語テキスト

北部グループの碑文

クレスの青銅製花瓶

クレス(Cles)から出土したブロンズ花瓶(幅 10 cm)の断片。 碑文は右から左へ “pianus apau” と刻まれている。紀元前 5 世紀のもので,ラエティア人の碑文の最初の段階に属す。

メクロの青銅板碑文

クレスの南方 2.4 km,メクロ(Meclo)の近郊で,1855~6 年に発見された青銅板。プレート上部に小さい穴があり,首から鎖で下げるお守りのようなもの。長円形の盾形で中央に飾りがある。

カスリル水差し碑文

青銅の水差し。高さ(柄を入れずに)30.5 cm,直径は,最大がこれより少し長く,最上部の縁の内径 24 cm。柄はまるく,水差しの上部両側に付けられた硬い青銅の十字形のものの上の輪で支えられている。1825 年,トレントの北東のカスリル(Caslir)と称せられる丘の斜面の洞穴で,一農夫により発見された。(図 → Ancient North Italic Inscriptions

南部グループの碑文

南部グループの例としては,マグレで発見された鹿の角に記されている碑文(前 3 世紀中頃)がある(図 1~3)。図 4 は,パドヴァ(Padpva)の聖アントニオ聖堂(la Basilica di S. Antonio)付近を発掘中,1899 年 1 月に発見されたエトルスク型の青銅の暖炉用小型シャベルで,明らかに犠牲用に使われたもの。碑文は 2 行からなり,第 1 行は柄の近くの上部より外に向かって右から左へ,第 2 行は下部から上部へ外に向かって右から左へ,すなわち,いわゆる蛇状犂耕式に記されている。

マグレの鹿の角碑文(1)マグレの鹿の角碑文(3)
「レイティア神に,M.T. が(これを捧げた)」
マグレの鹿の角碑文(2)パドヴァの小型シャベル碑文
「レイティア神に,M.T. が(これを)捧げた」蛇状犂耕式

西部グループの碑文

カスタネーダの葡萄酒瓶

右図は,カスタネーダ(Castaneda)の口付き葡萄酒瓶(beaked flagon)の碑文。これは,メソッコ(Mesocco)流域のカスタネーダの鉄器時代(前 1000~)の共同墓地で,1935~36 年の冬,発見された。碑文は青銅の葡萄酒瓶の口のへりに沿って「右から左へ(sinistrorsum)」記されている。前 450~前 250 年のもの。


関連リンク

[最終更新 2018/08/20]