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【地球ことば村・世界言語博物館】

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世界の文字

キュプロ・ミノア文字 英 Cypro-Minoan script


紀元前 2 千年紀のキュプロス島で用いられていた文字で,同じ時期のクレタ島で行われていたミノア文字と共通した性格が見られることからら,エヴァンズ(A. J. Evans,1909)によって「キュプロ・ミノア文字」と名づけられたが,「ミノア線文字 Aミノア線文字 B」にならって「ミノア線文字 C(Linear C)}と呼ばれることもある(単に線文字 C とも)。→ 松本

この文字の書かれた資料は,小さな粘土玉,土器あるいは金属器上の刻銘,印章,粘土板文書など様々な形のものを含み,その所属年代は,前 16 世紀末から前 11 世紀半ばに及び,出土地域は,キュプロスのほぼ全域にわたっているが,このほかに,対岸のシリア北部のウガリトからも重要な資料が発見されている。参照 → 「ミノア文字年譜」

文字構成

これらの文字資料は,かなり長期にわたって,しかも様々な場所から出土しているので,文字の形態にも時代や地域による相違が大きく,その分類は研究者にとって最初の重要な課題となってきた。研究によれば,この文字は少なくとも 3 種類の形態が区別され,それぞれ CM1,CM2,CM3 と呼ばれている。

キュプロ・ミノア文字表 → Brent Davis




キュプロ・ミノア文字音価表

D. Lytov によるキュプロ・ミノア文字の音価は,2015 年時点で多くの支持を得ている。 Cypro-Minoan syllabary


キュプロ・ミノア文字テキスト

キュプロ・ミノア文字資料の 3 形態

CM1 と呼ばれるものは,キュプロス・ミノア文字の最も主要な形態で,現存資料の大部分がこれに属す。資料の形態も様々で,量的にも最も多いが,大部分が断片的なために,内容についての手がかりはほとんど得られない。文字の変種も多く,およそ前 1400 年以前のものには,クレタの線文字 A やその原始形態に近い古体の文字が認められる。線文字 A・B,あるいは,のちのキュプロス音節文字と共通ないし類似した文字がかなり見られ,したがって,文字の性格はこれらと同じ音節文字,しかも,単純開音節構造の文字と見られる。表意文字は見られない。→ Palaima

CM2 とされるのは,エンコミ(Enkomi)の遺跡から,1952 年に発見された 12 枚,および,1953/1964 年に同じ遺跡で発見された 2 枚,計 4 枚の粘土板文書によって知られる文字形態で,これらの粘土板の所属年代はいずれも前 13 世紀末ないし前 12 世紀初頭と見られる。次に示す粘土板は,一部破損しているけれども,A 面 22 行 296 字,B 面 16 行 143 字を含み,キュプロ・ミノア文字のこれまでに知られる最も長いテキストである。→ Palaima

CM3 として分類されるものに,前 13 世紀半ばと推定される 2 枚のタブレットがある。一つは,両面にそれぞれ 7 行を含む,おそらく書簡の断片と思われる文書で,分量は 56 字,25 の違った文字を区別できる。→ Palaima

もう 1 枚は,両面にそれぞれ 8 行を含むほぼ完全なタブレットで,全部で 150 字,39 の違った文字が判別される。内容は明らかに人名のリストを含み,この文字の解明に有力な手がかりを提供するものと見られる重要資料である。→ Palaima

テキスト入力

フリーフォント Quivira は,CM1 から CM3 に含まれる多くの字形を収録する。(ユニコード非設定)


関連リンク

[最終更新 2018/08/20]