地球ことば村
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【地球ことば村・世界言語博物館】

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「世界の文字」について

Unicodeの普及に伴い,多言語環境を整えることが一昔前に比べ飛躍的に容易になりました。

古代から現代まで,文化的・宗教的・歴史的・学術的観点で重要な意味をもつさまざまな言語と文字を,ご覧くださる方がご自身の手で書き記す際に,このページが何らかのヒントを提供できる契機ともなれば,と念じています。

ご意見やご指摘などをお聞かせください。

稲垣徹
t-ing at tbh.t-com.ne.jp
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世界の文字

カイティー文字


北インドの書記カーストたるカーヤスタ(Kāyastha)が用いてきた文字で,その名称 Kaithī は,カースト名の変形した Kaith に文字・言語の名称を形成する接尾辞 -ī を付したもの。デーヴァナーガリー文字の古形の東部系に属し,広く北インド一帯のカーヤスタの間で用いられてきたが,現今では,主にビハール州のビハーリー諸方言帯に限られて使われている。そのためこれを,ビハーリー文字(Bihari letters, Bihārī lipi, ビハール文字とも)ということもある。 [1]

文字組織

今日のカイティー文字は,基本的にデーヴァナーガリー文字とさして違わないが,書記体系としてはかなり簡略化されているため,正確な表記ができない欠点をもつ一方で,早く書ける利点をもつ。すなわち,デーヴァナーガリー文字の上部の横棒を省き,/i/ と /ī/,/u/ と /ū/をそれぞれ1つの文字で表記し,頻度が低く歴史的に新しい子音字を欠いている。下記文字表は Grierson [2] による。


方言地域による文字形

現在のカイティー文字は,地域的に3つの形をもつ。1)マイティリー方言地域で用いられる曲線の流れが非常に美しいティルフティー・カイティー文字(Tirhutī-Kaithī lipi), 2)ボージュプリー方言地域で用いられるデーヴァナーガリー文字に近いボージュプリー・カイティー文字(Bhojpurī-Kaithī lipi)ここでは,/u/ と /ū/を別々の文字で表す3)マガヒー方言地域で用いられるカイティー文字の代表格であるマガヒー・カイティー文字(Magahī-Kaithī lipi)。右図参照。

カイティー文字テキスト

サンプルテキスト

テキスト Grierson (1899)

ローマ字翻字

Criminal Petition (Patna.)
Garíb Par'war salámat,---
Phid'wí sát big'há khetí kar'tá hai. Das bárah
baras se hámárá jot chalá átá hai. Im'sál par Naurangi Lá-
l ne gañw ko ṭhíká liá hai; so wah jabar'das'tí kar'te hai ke “Pách
rupa-iá big'há mál'gujárí dewe, tab tum khet ap'ná jo-
to.” Wo phid'wí har'sál tín rupa-iá big'há mal'gujá-
rí dete chale áte hai; jabar'das'ti se khet hamár káṭ
kar lie játe hai. Wo tháne mañ gai, na suná, pulís ne ká
“Hajúr me jákar náliś karo.”

May it please your Worship,--
I cultivate seven bighás of land, and have done so for the past ten or twelve years. This year Naurangí Lál has taken the village in farm, and is acting tyrannically, saying that I must pay rent at the rate of five rupees a bigha, before he will allow me to plough my field. But I have always paid at the rate of three rupees, and he is cutting my crop by force and carrying it away. I went to the police station, but the police did not hear my complaint, and told ( for kahá) me to complain to Your Worship.

テキスト入力

ユニコード

カイティー文字のユニコードにおける位置は U+11080..U+110CF であるが,今のところ,対応するフォントは存在しない。ここで用いたフリー・フォントKaithi OTS は,通常の英数字の位置(ASCII配列キーボード)と,デーヴァナーガリー文字の位置 U+0900..U+097F の2か所に配置されている。



カイティー文字表示テスト

下表右下セルにカイティー文字が正しく表示されない場合は,上記フォントKaithi OTS をインストールする。

正しい表示お使いのコンピュータでは
kayTì

カイティー文字入力方法

通常の英数字の位置(ASCII配列キーボード)に配置されている文字を使用する際は,BabelMapなどを利用して「文字表」を表示して文章を入力する。一方,デーヴァナーガリー文字の位置に配置される文字を利用するには,デーヴァナーガリー文字用スクリーンキーボードのフォントを前述のKaithi OTSに指定したものを参照しながら,キーボードから文章を入力する。タスクバーには ISO 639-1 の言語コードでデーヴァナーガリー文字を表す「HI ヒンディー語(インド)」が表示される。【参照】 多言語環境の設定

関連リンク・参考文献