女書 英 Nü shu,Women's script in China
女書(右から左へ読む)[User:Mu / Public Domain / 出典] |
女書は、この地の方言を表記する表音文字で文字の種類は遠藤は約 450 字,異体字の数え方の違いで。字形は全体で約 1 千字という学者もいる。その 80 % 以上が漢字と対応する。残りの 20 % 弱は,あるいは漢字を任意に改変したものか,あるいは,創作文字であろうといわれる。そして,本来の表意字形が,約 400 音節を書き表す表音節的機能を与えられている。[西田: p.707]
女文字には,もとの漢字を類推させ特徴が3つある。1)漢字全体をそのまま借用し,形を斜めにしたもの。これらの中には,漢字の元の形と反対方向の斜めになっているもの,または,漢字を変形したあとで結合したものがある。2)漢字を少し変えたもので,見れば読めるもの。 3)漢字から借用した痕跡はあるが,変異がおおきいもの。つぎに,表音文字としての特徴として,1)女文字の造字構成部分や単字に表意機能がない,2)ある単字あるいは構成部分を音符として文字の土台を作り,そこから字群を形成するのが一般的な造字法である,3)漢字と異なり,字形と字義の間に直接の関係はない,があげられる。
文字資料
文字資料には『三朝書(サンジャオシュー)』とよばれる冊子がある。『三朝書』は,結婚式の 3 日目に,結婚する娘の母・叔母・姉妹・義理の姉妹などが,別れの悲哀や結婚後の幸せを祈る歌を書いて贈る冊子である。
ユニコード
ユニコード 10.0 では,新たに女文字が追加された(U+1B170.. U+1B2FF)。Nushu
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | A | B | C | D | E | F | |
U+1B17x | 𛅰 | 𛅱 | 𛅲 | 𛅳 | 𛅴 | 𛅵 | 𛅶 | 𛅷 | 𛅸 | 𛅹 | 𛅺 | 𛅻 | 𛅼 | 𛅽 | 𛅾 | 𛅿 |
U+1B17x | 𛅰 | 𛅱 | 𛅲 | 𛅳 | 𛅴 | 𛅵 | 𛅶 | 𛅷 | 𛅸 | 𛅹 | 𛅺 | 𛅻 | 𛅼 | 𛅽 | 𛅾 | 𛅿 |
U+1B18x | 𛆀 | 𛆁 | 𛆂 | 𛆃 | 𛆄 | 𛆅 | 𛆆 | 𛆇 | 𛆈 | 𛆉 | 𛆊 | 𛆋 | 𛆌 | 𛆍 | 𛆎 | 𛆏 |
U+1B19x | 𛆐 | 𛆑 | 𛆒 | 𛆓 | 𛆔 | 𛆕 | 𛆖 | 𛆗 | 𛆘 | 𛆙 | 𛆚 | 𛆛 | 𛆜 | 𛆝 | 𛆞 | 𛆟 |
U+1B1Ax | 𛆠 | 𛆡 | 𛆢 | 𛆣 | 𛆤 | 𛆥 | 𛆦 | 𛆧 | 𛆨 | 𛆩 | 𛆪 | 𛆫 | 𛆬 | 𛆭 | 𛆮 | 𛆯 |
U+1B1Bx | 𛆰 | 𛆱 | 𛆲 | 𛆳 | 𛆴 | 𛆵 | 𛆶 | 𛆷 | 𛆸 | 𛆹 | 𛆺 | 𛆻 | 𛆼 | 𛆽 | 𛆾 | 𛆿 |
U+1B1Cx | 𛇀 | 𛇁 | 𛇂 | 𛇃 | 𛇄 | 𛇅 | 𛇆 | 𛇇 | 𛇈 | 𛇉 | 𛇊 | 𛇋 | 𛇌 | 𛇍 | 𛇎 | 𛇏 |
U+1B1Dx | 𛇐 | 𛇑 | 𛇒 | 𛇓 | 𛇔 | 𛇕 | 𛇖 | 𛇗 | 𛇘 | 𛇙 | 𛇚 | 𛇛 | 𛇜 | 𛇝 | 𛇞 | 𛇟 |
注
- 西田龍雄 (2001)「女書」河野六郎 [ほか] 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂.
関連サイト
- 遠藤織枝 (1996)『中国の女文字 : 伝承する中国女性たち』三一書房.
- ― (1997)「女文字―娘たちが作り,伝えた表音文字」『月刊しにか』(8「6」)
- ― (2003)『中国女文字研究』博士論文;お茶の水女子大学.
- ―,黄雪貞編集 (2009)『消えゆく文字―中国女文字の世界』三元社.
- ― (2011)「女性だけの文字 ー 中国女文字はなぜ生まれたか」町田和彦 編『世界の文字を楽しむ小事典』大修館書店, pp. 88-91.
- 女書の世界
- 中西コレクション(国立民族学博物館)女書文字
- 好奇字展 女書 東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所
- 女書
- Omniglot Nüshu (女书)
[最終更新 2022/06/18]