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【地球ことば村・世界言語博物館】

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世界の文字

ラオ文字 英 Lao letter


ラオ文字(ラオス文字、ラーオ文字とも,Akson Lao: Lao: ອັກສອນລາວ [ʔáksɔ̌ːn láːw])は,ラオスの公用語ラオス語(話者数約 320 万人,タイ・カダイ語族)を表記する文字。インド系文字で,起源はタイ文字と同じく,古クメール文字から派生したタイのスコータイ文字(13 世紀)といわれる。現在のラオ文字に至る古ラオ文字が確立したのは 15, 16 世紀と推定される。古典文学はパーリ語仏典の表記に用いられたタム文字(ビルマ文字と同じ系統でモン文字に遡る)で書かれたが,ラオ文字は民衆のラオス語を表記する文字として発達した。 [1]

文字構成

音節文字であるラオ文字は,「子音字」と「母音字」および「声調記号」からなる。ラオ語では伝統的に子音字が文字の中心的存在で,それに母音符号と声調記号を上下左右のいずれかに付けるという考え方である。鈴木玲子 (2001),(2010) [2] による。

子音字

子音字には「基本子音字」「複合子音字」の 2 種類がある。

基本子音字

基本子音字は,下表の 27 字からなる。子音字には,[k] / [kʰ],[t] / [tʰ],[p] / [pʰ] のようなペアがあり,前者を「無気音」,後者を「有気音」と呼ぶ。これら子音字は,声調決定のために 3 つのグループに分かれる。下表の罫線で囲ったものを中子音字,網を掛けた箇所の文字を高子音字,その他を低子音字と呼ぶ。()内は末子音の場合の発音を示す。


複合子音字

下表に示したように,同じ [kʰ] で声調だけが異なるようなペアがいくつかある。一方,残りの [ŋ],[w] のように高子音字のペアがないものがあり,これらに対しては,高子音字である [h] を組み合わせた複合高子音字がある。


母音字

母音字には,「基本母音字」「二重母音字」「複合母音字」の 3 種類がある。

基本母音字

基本母音は 9 つあり,それぞれ長短の対立があり,文字としては 18 になる。()内の文字は,末子音があるときに用いる字体である。末子音字がなく,短母音字で終わる音節の場合は,原則として末尾に [ʔ] を伴う。


二重母音字

二重母音は 3 つあり,それぞれ長短の対立があり,文字としては 6 になる。ただし,短二重母音は,擬声語などのオノマトベや中国語からの借用語など,ごくわずかな例にしが使用されない。


複合母音字

母音 [a] と末子音が一緒で 1 文字の複合母音字が 4 つある。aj については,どちらの文字を使用するかは語彙によってきまっている。


声調記号

ラオ語は単音節言語である。頭子音を C1,母音を V (VV は長母音または二重母音),末子音を C2,声調を T とすると,ラオ語の基本的な音節は C1VV(C2)/T,または, CIVC2/T と表される。()内は任意。次に,声調規則表と,声調規則とその例を示す。



標準的な発音と認められつつある首都ビエンチャン方言には 5 つの声調がある。
中平調:真ん中よりやや高めにまっすぐ平ら
低降調:やや低めより始まってさらに低く下がる
下降調:高いところから低いところへ下がる
中高調:真ん中より始まって少し高く上がる
低平調:低いところから始まって高く上がる

数字・その他の記号

数字


その他の記号


ラオス語文例

世界人権宣言第一条 [Universal Declaration of Human Rights - Lao, 例文の作成には,フリーフォント DokChampa を使用。]

ラオ文字の入出力

ユニコード

ラオ文字のユニコードでの収録位置は U+0E80..U+0EDF である。文字表に不規則な空白が多数ある。この空白はは,タイ文字の子音表にラオ文字を対応させたとき,対応するラオ文字がないタイ文字位置に対応している [3]


ラオス語キーボード

ラオス語用キーボードを設定すると,タスクバーにはラオス語を表す「LA」が表示される。仮想キーボードおよび入力方法については 多言語環境の設定 を参照。


関連リンク

[最終更新 2021/09/05]