地球ことば村
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世界の文字

グランタ文字 Grantha script


グランタ文字は,南インドのタミル語の話される地域においてサンスクリット語を表記するために用いられた文字で,系統的には北インドのマウリヤ朝(前 317~前 180 頃)の下で発達したブラーフミー文字に由来するものである。ブラーフミー文字は 4 世紀以降は南インドのパッラヴァ朝に引き継がれたが,そこでさらに発展してブラーフミー文字とは別個の独自性をもつに至ったのがグランタ文字である。 [1]

グランタ文字自体の発展としては,スブラマニアム(T. N. Subramaniam)が,I 期(A.D. 650 以前)を初期グランタ文字,II 期(A.D. 650~950)を移行期グランタ文字,III 期(A.D. 950~1250)を中世グランタ文字,IV 期(A.D. 1250 以降)を近代グランタ文字としている。I 期・II 期はパッラヴァ朝からチョーラ朝初期の時代に相当し,III 期はチョーラ朝盛期,IV 期はパーンディヤ朝,ヴィジャヤナガル王国氏支配期に相当する。I 期の例としては石刻文が多く,そこには装飾性が強く見られる。I 期と II 期のグランタ文字を,主としてパッラヴァ朝の宮廷で発達したことから,とくにパッラヴァ・グランタ文字(Pallava-Grantha)と呼ぶことがある。II 期以降は銅版刻文の例が多く,草書体的な発展が見られる。右図:出典 Dalavāy Agrahāram Plate of Varatuṅgarāma Pandya (16 世紀)Visalakshy (2003) [2]

文字構成

ブラーフミー文字の系統を引き,サンスクリット語を表記するためのものであるため,破裂音の系列については,軟口蓋音,硬口蓋音,そり舌,歯音,両唇音のすべてについて,たとえば軟口蓋音の k,kh,g,gh のように,有声・無声の対立と帯気・無気の対立に基ずく 4 つの字母をもっている。

母音字


子音字

子音字と母音記号の組み合わせを ka で例示する。


子音字


子音結合文字

多数の子音結合文字があり,Visalakshy (2003) では,約 250 種類の結合文字を掲載している。




数字


グランタ文字・タミル文字・マラヤーラム文字の比較

古くからタミル語の話されてきた南インドの半島南部では,タミル語を表記する文字として,紀元前4~3世紀の頃からタミル・ブラーフミーと名づけられる文字が用いられてきたが,それが6~7世紀からタミル文字となって発展した。タミル文字の場合には,タミル語の破裂音に有声・無声および帯気・無気の対立がないので,字母の数も少なくなり,その代わり,タミル語に固有な音素を表す字母が加わっている。グランタ文字とタミル文字の間にはそのような差異はあるものの,両者とも元来フラーフミー文字に由来し,また,両者はほぼ同じ時期に主としてバッラヴァ朝の支配下で発展しただけに,字母に共通するところも多い。

半島南西部沿岸のケーララの地では長い間タミル語が話されていたが,10 世紀を過ぎた頃から次第にマラヤーラム語が独自の言語として発達した。このマラヤーラム語は,成立に際してサンスクリット語から多くの語彙を取り入れ,その表記のためのグランタ文字や,ヴァッテルットゥ文字 の影響を受け入れながら,14 世紀頃マラヤーラム文字として発達した。

下表はグランタ文字, タミル文字およびマラヤーラム文字を比較したものである。(Gr.:グランタ文字, Ta.:タミル文字, Ma.:マラヤーラム文字)


グランタ文字テキスト

サンプルテキスト


出典: Wikipedia: Grantha alphabet

Manipravala

グランタ文字はサンスクリット語表記のもので,タミル語の表記にはタミル文字が用いられているが,両者はそれだけで一貫して用いられているのではなく,たとえば,サンスクリット起源のタミル語の部分で,サンスクリット語に特有の音素を表記するためにグランタ文字が用いられたり,しばしば混交して用いられている。


出典:Grantha Manual in Grantha Package(サイト停止中)

Sama Vedic


出典:Grantha Manual in Grantha Package(サイト停止中)

関連リンク・参考文献

[最終更新 2019/01/20]