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世界の文字

小アジア文字 英 alphabets of Asia Minor,Anatolian alphabets

ここで小アジア文字というのは,紀元前 1 千年紀にこの地域に行われていたアルファベット系の文字の総称で,起源的にはいずれもギリシア文字を基盤とし,それぞれの地域・言語に固有の改変やさらには他の文字組織の影響を受けて成立した文字形態である。これらの文字で,これまで知られるものとしては, プリュギア文字 リュディア文字 リュキア文字 カリア文字 シデ文字などがある。[松本]

なお,これらのアルファベット系文字が出現する以前の小アジアには,前 2 千年紀後半のヒッタイト帝国を中心とする楔形文字やそれよりやや遅れて南東部のルウィー語圏で用いられた ヒッタイト象形文字などがあったが,これらの文字文化の伝統は, ギリシア文字が出現した紀元前 8~ 前 7 世紀頃には,少なくとも小アジアではほとんど消滅していた。

前 1 千年紀に,小アジア系のアルファベットを発達させた言語の中で,リュディア語とリュキア語はヒッタイト語やルウィー語に代表される印欧系アナトリア諸語の直接の後裔であり,また,プリュギア語も前 2 千年紀末におそらくバルカン半島から小アジアに移住した印欧系民族の言語であるが,小アジア南西部のカリア語と南部パンピュリアでシデ文字を残した言語の実体は,まだ十分に解明されていない。

これらの文字の系統は,リュディア文字が東ギリシア型(またはイオニア型)のアルファベットを原型としているのを除けば,残りの文字は,これらの文字体系におけるいわゆる「補足文字」の使われ方から見て(西ギリシア語 /kh/,東ギリシア文字 /ps/,いずれもカルキス文字に代表される西ギリシア型のアルファベットを基盤として発達したものと見られる。

The Asianic alphabets [Diringer]

参考サイト・文献

[最終更新 2022/03/23]